Yoga

「良い姿勢」ってなんだろう(認識編)

「良い姿勢」と言われて、体が反応しようとすること

姿勢を気にした時に、あなたはどう反応しますか?
猫背の方は胸を張ろうとしたり、O脚の人は脚を閉じようと試みたり…こんなことが起きるかもしれません。
日本の学校では、「姿勢を正して」と言って、急に体を緊張させて、胸を張るような場面が多々あります。それ自体は授業のメリハリや姿勢の重要性を感じるために必要かもしれません。
でも、それは本当に良い姿勢を作っていくのか…
クラスを指導するようになって、ニュートラルポジションのことを話したり、体のくせを取り除く話をしようとする中で、はた と重要なことを自覚していないことに気づきました。

「姿勢は意識して作れるものではない」ことを。


ヨガは、体を(実際には心も)ニュートラルな状態に整えていく取り組みです。
立位の、座位の、臥位の、細かいことを言ってしまえば、関節の、筋緊張の、(そして、意識の)ニュートラルな状態。
腰の左右の高さが違うとか、肩の高さが違うとか、右より左の動きが悪いとか、そういうことを小さくしていく。
ニュートラルに近づけるための運動(整体法やヨガなど)を続けてきた人は、歪みや動きの悪い部分、左右差が減ってニュートラルな状態に近づいていきます。
そして、そうした人々は、立った姿が、座した姿が、あるいは体の動きが、とても整って見えます。
これを一般的に「良い姿勢だ」と言ったりするのではないでしょうか?

「良い姿勢」は無意識に存在するもの

意識して胸を張ったり、背筋を伸ばそうとしたりするときに起こることは、アウターマッスルの緊張でおきる一時的な変化です。
意識して、背筋を緊張させ、胸を張ってみることは、一見外見的には見栄えがよく見えたとしても、
無駄な労力がかかっていて、10分もしないうちに緊張が解けて、普段の体のくせが現れた「本来の今のあなたの姿勢」に戻るでしょう。
これは、内側の体幹を支えるインナーマッスルの働きではなく、外側のアウターマッスルで体を支えようとする働きです。
また、そのアウターマッスルを緊張させる小さなくせは、重ねるとあなたの体のアンバランスにつながっていきます。
結局、「良い姿勢」はその瞬間に意識してできるものではないのです。

一瞬保てるハリボテとしての「良い姿勢」ではなく、なんの意識も努力もしていないのに、ただ自然にしているだけなのに姿勢が整って見える、これが本当の求める「良い姿勢」ではないでしょうか?
この話でいけば、本当に姿勢を良くしたいと思った場合には、あなたの意思とは関係なく体がその形を取ろうとする状況を整える必要があります。
ヨガの複雑に見える動きは、そうしたインナーマッスルを整え、勝手にニュートラルに保とうとする状態を整えていくための積み重ねと言えます。


ここまでは、理解しやすい話だと思うのですが…理解と行動とは違うんですよね。

次回は、頭で理解した後の、行動に移す時のマインドについて考えます。

後編はこちら
体を変えていくために(マインド編)