Yoga

Ahimsa アヒムサ

前回から、ヨガの八支則の最初の一支、ヤマについて触れています。

今回は、ヤマの中で最も重要と言われる アヒムサについて見ていきます。

Yama ヤマ(禁戒)

①  アヒムサ(非暴力)
② サティヤ(真実・正直)
③ アスティヤ(不盗)
④ ブラフマチャリヤ(禁欲)
⑤ アパリグラハ(不貪)

他人や物を含む周囲に対して守るべき5つの行動
環境や人々と良い関係を保つために自制すべきことがまとめられている

アヒムサ(非暴力)

「非暴力を徹した者のそばでは、すべての敵対が止む」
“In the presence of one who is established in non-violence,
all hostility is given up”
ヨーガ・スートラ Ⅱ−35

アヒムサは、ヤマの中で最も重要と言われています。

ガンディーがインド独立運動の際、一貫して貫いたのが このアヒムサと次に続くサティヤ(真実・正直)でした。

その、ガンディーのアヒムサの実践がどうだったか、結果がどうだったかは 皆さんもご存知のはずです。
彼の実践では、まさにスートラⅡ−35 の「すべての敵対が止」みました。

「ヤマの実践を 継続的に信念を持って深く行うと、周囲を動かすほど大きな力を生む」ということを、この事例は語っています。

Ahimsa  
a=not(否定を意味する),  himsa=苦痛を引き起こすこと

非暴力とありますが、本来の意味は、「傷つけないこと」「苦痛を引き起こさないこと」を意味します。
思考、言葉、体による行動 すべてにこのアヒムサが求められます。

この対象は、他者、環境、そして自分を含みます。

なにかの命を 奪いながら生きている私たち

苦痛を引き起こす苛烈な行為の一つとして、「殺す」 ということがあります。

そのため、アヒムサを守るためには、スピリチュアル的に、また 解脱を目標にするなら、菜食が望ましいと言われます。

とはいえ、植物にも命があります。
さらに、完全に絶食して生きられたとして、ただ立っているだけで、地表にいる微生物を圧死させていることになります。

結局のところ、一切の生き物を殺さないで生きることは不可能です。

命を奪いながら生きるという自然の摂理の中で、アヒムサをどう実践するか。
自分の生き方の中で、どうすれば最大値のアヒムサができるか。

自分なりに考えていくしかないように思います。

ガンディーのようにはいかなくても、まずは自分の出来ることを見つけていきましょう。

【 アサナにおける アヒムサ 】

「ヨガは「痛みなくして、成長なし』の反対。
ヨガの成長は、痛みがない状態の時に起きる。」

信頼するヨギがよく言っていたことです。

アヒムサの原理は、アサナの練習にも適応されます。

痛みがある時。
それは 今の体の現状を超えたことを体に強いているか、やり方を間違っています。

今の体の現状を超えたことを体に強いること。
つまり、今の自分にできないことを無理をしてやると、怪我につながります。
いったん怪我をすると、怪我が回復するまで その部分をかばったり、場合によってはポーズの練習そのものができなくなってしまいます。

やり方が間違っている場合もまた、負担をかけたくない部分で体を使う・支えようとすることにつながなり、不要な癖を生み、結果的に体を痛めます。

多くの日本人に「何かを獲得しようとするときは苦しくて当然」という意識が刷り込まれている気がします。

自分を傷つけてしまうほどの痛みは 不要です。
これは、アサナに限ったことではなく、すべての取り組み、関係性にいえます。

正しく、自分のレベルに合わせて取り組みを継続していれば、必ず変化は訪れます。

自分を傷つけないで変化を起こすということは「何の負荷もかけない」ということではないことを心に留めておいてください。
スートラⅠ−14に「修習は、長い間、休みなく、敬意を伴った捧げる態度で励むなら、堅固な基礎となる※」とあり、これは時に、面倒で、しんどくて、疲れとして感じられる物事が含まれています。

アサナでのアヒムサに取り組むためには、体の声を聞くこと。

体の変化 ー
伸びる感じ、
突っ張る感じ、
縮もうとする感じ、
呼吸が通る感じ…

どの部分でどう変化しているか観察します。

クラスでは、「アサナを保持している時呼吸が苦しくないかどうか」が限界のラインの一つとお伝えしています。
呼吸の観察は、アヒムサを守る上で役立ちます。

【 このCOVID−19流行期における アヒムサ 】

自分へのアヒムサとして、自分を守る行動を。

感染から身を守る予防行動 
ー手洗いの励行や人混みを避けること。
そして、免疫力を上げること 
ー多すぎず少なすぎないバランスの取れた食事、適度な負荷の運動、十分な睡眠、ストレスの軽減など。

体だけでなく、心を守ること。
非日常が続くと、心は乱れます。
ストレスは免疫を下げる大きな要因とも言われます。
ストレスの軽減のため、また、変わってしまった日常を 少しでも自分らしいものにするために、日常を楽しめる行動を続けましょう。

お茶をする時間を持つ。

美味しいものを楽しんで食べる。

ゆっくりとお風呂に入る。

丁寧にメイクする。

もちろん、ヨガとその呼吸法も役立ちます。

そして、周囲へのアヒムサを考えましょう。

周知のように、3月16日に サンフランシスコを含むベイエリア全体に3月17日〜4月7日までの自宅待機命令が出ました。
これは3月19日には、カリフォルニア州全土に適用されました。
サンフランシスコ市のサイトでは、これは法的効力があり、違反は軽犯罪にあたるとしています。

The Washington Postが専門家の提言によりまとめた記事では、「人々の行動を制限すればするほど、感染を抑え込むことに成功する」としています。

コロナウイルスなどのアウトブレイクは、なぜ急速に拡大し、どのように「曲線を平らにする」ことができるのか https://www.washingtonpost.com/graphics/2020/health/corona-simulation-japanese/?utm_campaign=wp_main&utm_medium=social&utm_source=twitter

このシュミレーションと同様の考えのもと、政府やWHOは、基礎疾患を持ったハイリスク対象者を守るため、医療崩壊(限りある医療従事者と医療物質が使えなくなる)を招かないために これらの措置をとっていると考えられます。

すでに、私たちの行動が「個人が感染する・しない問題」ではなく、「個人の感染が地域のリスクを上げる・下げる」という段階に来ています。

家族だけでなく、地域、世界の人々へのアヒムサとして。

自分が感染している可能性が0でない以上、不用意に人と合わないこと(最近の研究ではコロナ陽性の約半数は無症状・無自覚と言われています)。
人と出会うイベントをとりやめること。
Countyが言うように、外出は食料品等の買い出しなど 必要最低限に。

この取り組みが成功するかどうか、本当のところはわかりません。

けれど取り組みの結果がどうあれ、自分のやろうとしていることが自分と他者へのアヒムサになっているかどうか考えることで、選ぶべき行動も見えてきます。

ヤマはこのように、迷った時の指針にもなる考え方です。


ヨーガ・スートラは、言語として曖昧さを含む日本語ではなく、サンスクリット語として理解することが重要とよく言われます。

今回 このヤマの項目で引用しているヨーガ・スートラの経文は、日本語訳出版物からではなく、ワークショップを受けたShriram Sarvothamの英語対訳を私なりに日本語訳したものを、英語訳と共に掲載しています。

ヨーガ・スートラ Ⅰ−14
英  訳:“Practice for a long time, without a break, with honor, with attitude of service, results are firmly established”
日本語訳:「修習は、長い間、休みなく、敬意を伴った捧げる態度で励むなら、堅固な基礎となる」