Health

“NY Times Opinion”から 私たちにできることを考える

COVID-19で死因につながる肺機能低下の早期発見について、救命救急医がNYでの臨床経験を元に 意見を述べた記事

日本語翻訳記事を、東洋経済オンラインが出しています
https://toyokeizai.net/articles/-/346423?display=b

個人的に 臨床の実例を専門的知見からまとめた よい提言の記事だと思います。
この医師の提言から 私たちがヨガや生活の中でできることを拾い出してみたいと思います。

 ー 注 意 ー
このブログは、この記事を読んだ上で 読むようにしてください。
この記事そのものも一医師の提言であり、刻々と変わるCOVID-19の認識とその対処策の中で、彼の提言が否定される可能性もあることを念頭に(科学における“真実”は常に新事実を前に何度でも変わるものです)、あくまで 現時点で出来ることの理解の一助として考えてください。


呼吸数の増加、酸素飽和度の低下が悪化の一つの目安

この記事で最も目立つ箇所は、低酸素血症を知るための パルスオキシメーターの活用です。

パルスオキシメーターは、酸素飽和度(SpO2:血液成分の一つであるヘモグロビンが酸素と結びついている割合を数値化したもの)を調べる医療器具。

慢性的な喘息をお持ちの方は、すでに利用している場合もありますね。

実は日本で志村けんさんが亡くなった時の記事を読んで、呼吸機能の低下が重症化のサインなら、パルスオキシメーターは役立つのではないかと家族と話していました。
実際に患者を診ていた医師から有用性について述べられたことで、パルスオキシメーターの活用も考えられそうです。

日米共に、20年前に比べ 一般市民も手に入るようになり、値段も安価になっています。
重症化しやすい年齢層などハイリスクに当たる方は、入手を検討してもいいのではないかと思います。

ただ、それさえ使えば早期発見と言えるか というと疑問もあります。

呼吸の変化を見逃さない

シンカナースより https://sinkanurse.jp/3311/

こちらの指摘では、呼吸数の増加が、酸素飽和度の低下に先立って起こるとあります。

実際、Levitan医師によれば 重症化している患者は呼吸数が増えているという指摘がありました。
酸素飽和度だけに頼るのではなく、呼吸数も把握しておく必要があるでしょう。

具体的には、「普段の呼吸数」を知り、定期的に測定を続け、呼吸数に変化があるかどうか確認することになります。

呼吸数はバイタイルサインの一つですが、「正しく測ること」が大切です。
ポイント抑えて、正しく測れるようになりましょう。


【測る時】
安静時(運動直後、食後、入浴後などを避け、座っている、横になっている時)

【数え方】
「吸って吐く」を1回と数え、上下する胸部、腹部を見ながら1分間数える(1分以下では誤差が大きくなるため注意)。

呼吸は意識すれば回数が変わるため、測っているのを気づかれないようにして測る(寝ている時など)

【正常値(平均値)】成人:15〜20回/分

Wikipediaのページが大変よくまとまっています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/呼吸数

注意点は、
・安静時に測る
・1分間測る
・気づかれないように測る
こと。

呼吸は、心拍と違って 意識すると数が簡単に変わってしまうため、基本的には、「自分」ではなく「別の人」が測るものです。

そうなるとなかなか呼吸数を数えられない人もいます。


呼吸が早くなるということは、ガス交換の効率の悪さを補うために起きること。

安静時では気づきにくくても、アサナや呼吸法で「息をいつもと同じ長さで吐けない」「すぐに吸いたくなる」と言ったことで、気づく手掛かりにできそうです。

肺の機能を最大限に使える状態にする

Levitan医師によると、人工呼吸器をつけた患者においても「下部や後部の肺を開いて呼吸ができるよう体位変換を行なっている」旨の記述があります。

下部や後部の肺を使えるようになることで「患者の呼吸を助け、病気の進行を防ぐように見受けられた」とあり、悪化する前から、肺の下部や後部ー肺全体を使える状態が整っていれば、早期の段階から悪化を防げる可能性があります。


肺の下部・後部を使うことができるヨガの呼吸法では、

ウジャイ呼吸
腹式呼吸(特に肺の下部)
完全呼吸(肺の上部、中部、下部全て)

などがあります。

肺の下葉の呼吸に大きく関わるのが腹式呼吸で、これには横隔膜が柔らかく動ける必要性があります。

肺の柔軟性についての情報はこちら
「美と若さの新常識 〜酵素パワーを使って呼吸ビューティー」

NHK公式サイト
https://www.nhk.or.jp/beautyscience-blog/archives/
(残念ながら、この回を含む2019年以前の放送記録がなくなっています)

個人のサイトで、その回の情報をまとめておられたブログがあったので、それを添付します
https://ameblo.jp/1204jj/entry-12304819645.html

呼吸法だけでなく、呼吸と大きく関わる横隔膜の柔軟性を上げるアサナもまた重要になるでしょう。

横隔膜は体を支えるインナーマッスルでもあるため、ウジャイ呼吸と共にアサナを行うことで、全てのアサナは横隔膜をストレッチするものになり得ます。

そういうわけで、実際には ヨガクラスでやることはこれまでと変わりありません。
それでもこの事実を踏まえ、呼吸をより大切に 練習を続けてみてください。